葛飾北斎「東海道絵」より 「土山」
葛飾北斎
土山は今の滋賀県南東部に位置する宿場で、信州から伝わったという「お六櫛」が名物となっていました。櫛歯の間隔が非常に狭いのが特徴ですが、木版で見事に再現されています。
他の作品もそうですが、画中の空白にはもともと狂歌が摺られていました。ある狂歌連が北斎に絵を描かせた内輪向けの印刷物(摺物)が、歌を削った一般向けのシリーズとして改めて摺られたのです。
「土山」には「枝たれて 氷つきたる柳髪 とけて流るゝはるの水くし」など、「櫛」をモチーフにした三首が伴われていました。
(※2018年3月1日~5月初旬の展示)