俳句短冊「正月や」

岸田劉生(1891-1929)

「正月や かまくら山の 松の色」
《麗子像》の画家、岸田劉生による俳句です。劉生は晩年、鎌倉に居を構えていました。関東大震災の後に移住した京都で蕩尽してしまい、心機一転しようと関東に戻ってきたのです。その背景を踏まえると、崖の上の松の図になんとも言えない寂寥感が漂います。劉生は主に大正時代に活躍した人で、プライベートな日記の文字もこのような調子のくずし字です。
※展示場所が他の紹介作品とは異なります。