昭和三十一年六月二十八日付 書簡(部分)

この年(1956年)の5月、半泥子は藍綬褒章を受けた。「拝啓 半泥子の柄にない褒章を頂いたのをお祝い頂きまして…」の書き出しで始まるこの手紙は、初代がその祝いの品を贈った返礼とみられる。
図は手紙の後半部分。「まだ興奮して竹田以上にはかけませんが」とある。「竹田」とは江戸の文人画家、田能村竹田(1777-1835)のことであろう。この部分より前の内容からは半泥子が竹田画を受け取ったことが読みとれるので、そのことを指しているらしい。刺激を受けたのか半泥子は庭の紫陽花を描いている。
梅雨に色を増していたとあるが、くるりと塗られた青がよく映えている。