鵺退治蒔絵印籠

「平家物語」等にみえる鵺(ぬえ)退治を描いた印籠です。時は12世紀半ば。深夜になると御殿の上を黒雲が覆い、天皇は酷く怯えて発作を起こしていました。怪物の退治役に選ばれた源頼政は部下の井早太を連れ、狩衣姿に弓矢を持って任に就きます。結果は印籠にみえるとおり。頼政は一矢で敵を射落し、井早太が止めを刺しました。退治された怪物は猿の頭に狸の胴体、四肢は虎、尾は蛇という姿だったということです。

頼政は平家との戦いに敗れて自害しますが、鵺退治の伝説は後になって能に脚色されました。