加彩貴婦人俑
ゆったりとした長袍に身を包むふくよかな女性。焼成した後に顔料で着色を施す手法(加彩)によって彩られている。
「俑」とは副葬のための人形のことで、鑑賞や愛玩は目的ではなかった。古くから中国では高位の人物の厚葬(手厚い埋葬)が盛んであり、彼らの墳墓には器皿などと共におびただしい数の俑が納められた。
それらは殉死者の代用であるとも言われ、特に秦の始皇帝(前259 – 前210)陵の兵馬俑は有名である。
しもぶくれで豊満な体つきは唐(618 – 907)時代の美人の基準であり、同時代の女子俑に類似例が確認されている。
大きな髪を結い、手足の先まで衣が覆う姿は下働きの奴婢のものではない。
死者に使える侍女であろうか。