花鳥蒔絵螺鈿印籠

黒地に金と青の対比が美しい一品です。葉の色味や葉脈の描き方に変化をつけ、絵が平板になるのを避けています。中央やや上にみえる花は銀が酸化して渋い色合となっています。当初はこの銀も輝いていて、今よりなお華やかだったのでしょうか。

印籠はふつう、小さな箱が重なってできています。それらは側部を貫く紐(緒)で連結していて、この緒を緩めて箱を上下させ中身を出し入れします。緒の先に付けるのが根付で、ここでは頭にタコをのせた猿の根付が取り付けられています。