大津絵「雷神(雷公の太鼓吊り)」

太鼓を海に落とした雷神が雲から半身を乗り出して吊り上げようとしているところです。両横に一刷きされた墨の線は、驟雨をあらわしているようです。
緻密さや優美さなどよりも、稚拙さや諧謔味が大津絵の特徴であると言えます。恐ろしい雷神が太鼓を落としてしまって吊り上げようと難儀する…滑稽なだけでなく、権威的な存在を笑いの種にしてしまう、ささやかな反骨の精神をみてとることもできるのではないでしょうか。