大津絵「弁慶」

大津絵の画題として大変好まれたもののひとつが弁慶です。延暦寺の僧兵であった弁慶が三井寺の鐘を盗んだというエピソードに基づく「釣鐘弁慶」や、本図のような「立ち往生」がしばしば描かれました。目をかっと見開いて口を引き結んでいますが、黒く塗られた顔や手が死相を表します。
「弁慶の七つ道具」といいますが、道具の種類は厳密には決まっていないようです。この弁慶は 薙刀・太刀・鎌・さすまた・斧・熊手・槌(つち)・鋸 と、八つの道具を身に帯びています。